知らぬ間に私たちの角層に潜む水虫菌
古いデータになりますが、1999年と2000年における全国2,000名の皮膚科専門医の調査によって、日本には人口の20%、当時で約2,500万人が水虫を患っており、その半数が爪水虫であることが分かりました。
(情報元:水虫は1ケ月で治せる! 爪水虫も3ケ月で治せる!)
水虫は危険を感じるような症状がなく放置されがちですので、この割合はあまり変わっていないものと考えられます。
水虫治療薬のCMで足をカリカリしてかきむしっているいるようなものをよく見かけますが、あんな水虫の症状ばかりではありません。
感染者さんが分かるような症状ばかりであればいいものの、やっかいなことに、足にこっそりと潜んで増殖していることが多いです。
夏なのに足の皮膚がカサカサしていたり、爪が厚くなり色が濁っていたら要注意。ご自身が本格的に水虫治療を開始しないと、素足で行動するたびに水虫菌をあちこちにばらまいて、感染源を増やすことになります。
さて、水虫を引き起こす原因はなんでしょうか。
水虫の原因となる白癬菌について
ただし、白癬菌は強い生き物ではなく、私たちに病気をもたらすウイルスや細菌のように、生きている細胞の中へ侵入できません。
「どこに住んでるの?」ってことですよね。実は死んだ皮膚の細胞の中に潜入してひっそりと増殖しています。
時間の経過とともに新陳代謝が行われて、これまでがっばってくれた細胞が下から上の角層へ押し上げられて剥がれていきます。水虫の原因となる白癬菌はこの角層に住んでいるのです。
角質層にはケラチンと呼ばれるタンパク質が豊富にあり、白癬菌はケラチンを分解する酵素のケラチナーゼを分泌して栄養源を確保しています。私たちが生きている限り角質層は作られ続けるので、白癬菌もずっと生きられるわけです。
そして角層のもととなるケラチンは全身を覆う皮膚、そして髪の毛や爪の主成分になっています。つまり、髪の毛や爪にも白癬菌が侵入する可能性があります。
実際、爪水虫も広く知られるようになり、飲み薬で本格的治療をされる患者さんが多数います。
水虫の種類と症状
足にできる水虫には3種類あり、それらを放置しておくと爪水虫になる可能性があります。
角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)
画像のようにかかとは白く厚くなるのですが、ただの乾燥肌と勘違いされやすく、また痒みがないために放置されがちです。
角質増殖型の水虫患者さんは、不快な症状を感じないために治療を怠りがちになります。その結果自宅はもとより、素足で歩いたあちこちに水虫菌をばらまいている可能性があります。
乾燥肌の方と同じく、保湿クリームをぬれば見た目は変わらないので、これで長年やり過ごす方が多いようです。
本サイトのメインテーマであるかかと水虫についてまとめたので、よろしければご参考ください。
→ 「カサカサなかかと」が水虫か乾燥肌か実際の画像で見分ける
趾間型(しかんがた)
初期症状は赤くなったり薄く皮がめくれる程度ですが、そのまま放置しているとジュクジュクしてきたり、赤くただれたりすることがあります。
小水疱型(しょうすいほうがた)
水疱のできかたは大小さまざまで、孤立していたり重なることもあります。そのまま放置しておくと乾燥して褐色のカサブタになって剥がれます。
このカサブタが目立つので水疱の状態で無理にむいてしまいがちですが、びらんになりますし、皮が深くめくれて傷になることがあります。
ちなみに、この水疱の中の汁には白癬菌がほとんどいないので、感染源になりにくいことが分かっています。
爪白癬(つめはくせん)
爪の硬さによって、さすがの白癬菌も簡単に侵入できないのですが、逆に一度侵入を許して爪水虫なると外用薬で治すことができず、皮膚科で処方された飲み薬で月日をかけて治療することになります。